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2014年9月11日木曜日

金持ちになるほどたとえ話が下手になる!?|TED|Paul Piff|スーパープレゼンテーション

photo credit: Tax Credits via photopin cc

こんにちは、ヒデヨシです。


「お金持ちのセレブになって贅沢な生活がしたい!」という思いは私たちの多くが抱いている憧れです。しかしながら、裕福さを得た代償としてたとえ話が下手になってしまうかもしれません。

この発想に至ったのはPaul Piff(ポール・ピフ)のTEDカンファレンスからでした。Paul Piffは社会心理学者として社会的階級、すなわち裕福な人とそうでない人の行動の違いを分析し、社会問題である経済格差を改善するための研究をしています。

今回はPaul Piffのプレゼンテーションから、なぜ裕福になるとたとえ話が下手になるのか、そして経済格差を食い止め、たとえ話が下手にならないためのたった一つの心構えを学びましたので紹介します。


スピーカー:Paul Piff(ポール・ピフ)
タイトル :Does Money make you mean ?「お金は人をイヤなやつにする?」





お金持ちは自分第一…?


Paul Piffの研究の一つに、モノポリーによってゲーム内での金持ちと貧乏人の行動の変化を観察したものがあります。モノポリーとは不動産や金銭のやりとりをしながら相手を破産させる人生ゲームのようなボードゲームです。

実験ではまずはじめにコイントスをし、運良く勝った方が有利な状態(所持金・給料が2倍、さいころを2つ振れるなど)でスタートします。そして有利な状況下にいる人間の行動にどのような変化が起こるかを観察しました。



結果、金持ちプレイヤーは共通して以下のような特徴が見られました。

・大きな音を立てながらコマを進める
・支配的な仕草(ガッツポーズ、バンザイ)を見せて感情を表現する
・置いてあるお菓子のプレッツェルをよく食べる

金持ちプレイヤーは共通して横柄な態度を取るようになっていました。その後感想を聞くと、たまたまコイントスで有利になっただけにもかかわらずその前提条件は忘れ、自分がいかにして勝ったかにしか興味が無くなってしまったのです。

勝って当たり前のゲームなのに、それを忘れて勝因を語るのというは面白い結果です。

これは社会的階層によって人間の思考や行動は影響されることを意味しています。裕福になればなるほど慈愛や同情の気持ちが減り、権利意識が高くなり利己的な考えが強くなってしまうのです。

Paul Piffの実験にはさらに面白いものがあります。高級車と低価格帯の車はどちらの方が思いやりをもって運転するのかというものです。

実験では一般道路で横断歩道を渡ろうとしている人がいたら、車が止まるのかどうかを調査しました。結果、すべての低価格帯の車は歩行者を優先して止まりましたが、高級車は50%しか歩行者のために止まりませんでした。

他の実験では、金持ちはゲームでズルをしてでも勝とうとする確率が低所得者の3〜4倍、同額のお金をもらった時に見ず知らずの人に分け与える金額が44%低い、交渉で嘘をついたり賄賂を容認したり自己利益を優先する傾向が見られました。

こうした実験結果をみると金持ちの人は悪いみたいに感じますが、実はすべての人は常に自分の利益と他人の利益を天秤にかけて葛藤し行動しています。
経済的・地位的な成功をつかむためには、自分の利益を周りの利益よりも優先させる必要があるため、裕福な人はその判断基準が自分寄りなのかもしれません。



貧富の差はみんなの問題


一部の富裕層が自己利益を追求して投資と収益の良いスパイラルを確立した結果、一般層から貧困層との所得格差が広がり、現代では大きな社会問題となっています。

ある研究によると、経済格差が広がると社会的流動性や健康や社会的信用などが低下し、反対に肥満、暴力、受刑率といった社会が抱えている問題が悪化するという報告が発表されているのだそうです。

現在、アメリカの上位1%の人の所得は1981年はアメリカ全体の8%だったのに対して2012年には20%にまでふくれあがっています(The World Top Income Database の調査データより)。たった1%の人間がアメリカの富のほとんどを握っているのです。ピフ氏は今後もこの格差は広がるのだと危惧しています。

この負のスパイラルは低所得帯の人から結局上位の富裕層にも影響が及び、もはや誰の為にもなりません。どうにか改善することはできないのでしょうか。



“思いやり”が経済格差を無くす鍵


Paul Piffの研究によると、心や価値観にほんの小さな変化(協力し合うことの良さや集団の良さを感じることなど)があれば、思いやりのレベルを修復できることが明らかになっています。

たとえば、たった46秒間の子供の貧困についてのビデオを見るだけで、世界には困っている人がいることを思い出し、裕福な人も貧しい人と同じくらい他人に対して思いやりを持てるようになりました。

経済的な「差異」は先天的・絶対的なものではなく、価値感のほんのちょっとの変化、慈悲や共感を意識するかどうかで左右されるのです。

ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)は社会的地位・権力・財産を持つものには責任が伴うという意味の言葉ですが、富裕層が所得格差を改善する為に活動をしている事例は数多くあります。

Giving Pledge(寄付の誓い)ではアメリカの100人以上の大富豪が財産の半分を寄付するという誓いを立てています。Facebookの創立者のマーク・ザッカーバーグ氏、マイクロソフト創立者のビル・ゲイツ氏、投資家のウォーレン・バフェット氏など、蒼々たる顔ぶれです。


富裕層の人たちが自分のお金を活用して草の根運動を進めている例もあります。「We are the 1%, We stand with the 99%」「Resource Generation」「 Wealth for Common Good」などでは若い人から年配の方まで様々な人たちが自分の特権とお金を使い、社会全体の経済格差を是正し健康的で平等な社会づくりのために行動しています。

社会全体の経済格差が是正され好景気となるために、貧困層から富裕層までのすべての人の思いやりが今必要とされているのだと
Paul Piffは言います。



金持ちになるほどたとえ話が下手になる!?



上手いたとえ話のコツは「イメージ化がしやすい」「共感できる」ことですが、金持ちの方々は特に共感が足りないためにたとえ話が下手になるかもしれません。理由は以下の3つです。



1.金持ちは思いやりが少ない


Paul Piffの研究によると、裕福になればなるほど思いやりの心が減っていくという実験結果があります。共感される言葉を選択するには相手が何を考えていて、何に興味を持っているか相手の気持ちを考えることが不可欠です。

思いやりの心が欠けていると主観的になり相手の立場に立った思考ができず、共感される言葉を選択する事が難しくなってしまいます。



2.価値観が大きく異なる


ドバイの石油王でたとえると、彼らの中ではペットのネコ=トラ、ゴミ箱=ルイ・ヴィトン、飲み物=石油、のように私たちの価値観とは異なる次元で物事を考えています(飲み物=石油はジョークですが)。


文化や宗教や価値観を知ることは相手を理解し共感する上で必要不可欠ですが、金持ちの方々はいわゆる一般人には想像できない生活をしているのでしょう。想像できないものはイメージ化もできないため、価値観のずれがあると共感は生み出せなくなってしまいます。



3.1%の人にしか共感されない


The World Top Income Database の調査データでも分かるように、高所得者の上位1%が世界のほとんどの富を所有しています。逆に言えば、自分たちと同じ立場・価値観の人は1%しかいないのですから、多くの人に共感してもらいたくても同じ価値観を持った共感してもらえる人の母数も少なくなります。


金持ちには憧れますが、もしかしたら結構孤独を感じているのかもしれませんね。



以上、3つの要素から金持ちは共感の心をつくり出しにくく、たとえ話が下手になってしまいます。




金持ちでもたとえ話が上手くなる方法




Paul Piffの実験では46秒の子供の貧困の映像を見るだけで思いやりの心が回復する実験結果があります。自分自身が体験することなく、たった46秒間の映像作品を見るだけで価値観に変化が生まれるという結果には驚きです。

これは所得に関係なく効果のある方法です。経済的な「差異」は先天的・絶対的なものではなく、慈悲や共感を意識するかどうかで左右されるという話のとおり、映像を見るだけで共感の心をつくることができます。


受動的に映像を見るだけで他者を思いやる気持ちを育めるなら、能動的に行う日常的な思いやり行為でも共感の心をつくることはできるはずです。

「ありがとう」と一言いう、ドアを開けてあげる、エレベーターのボタンを押してあげる、車の列に入れてあげる、など日常のほんの些細なの思いやりだけで寛容さと共感の心を取り戻す事ができます。


思いやる気持ちがあればコミュニケーションも円滑になり、相手との良好な関係が築けるでしょう。相手の価値観に合った表現を選択できるため、たとえ話も上手くなります。さらに長期的にみると、思いやりによって経済格差も是正するができるのです。

まさに一石三鳥、誰にでもできる行動でたとえ話が上手くなり社会問題も改善できるのですから日常的に意識して思いやりをもった行動を心がけたいですね。




まとめ



・金持ちは利己的で思いやりが足りない傾向にある


・経済格差を是正しないと肥満、暴力、受刑率などの社会問題が増加してしまう


思いやりでたとえ話が上手くなり、経済格差も改善できる



以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。



ヒデヨシ



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